お前のような初心者がいるか!

第59話 メンバー決定

 その日ゼッカがログインすると、メッセージが届いた。開いてみると、それは先日メッセージを送っていたソロからの返信だった。

『ギルド【竜の雛】へのお誘い、大変嬉しく思います。ですが、私はこの名の通り、ソロプレイを貫く者。大変申し訳ありませんが、今回のお話はお断りさせてください  三刀流のソロ』

「意外に丁寧……」

もちろん他のメンバーと相談の上でだが、前から行っていたギルドの勧誘を断られてしまった。

「ソロさんなら大きな戦力になると思ったんだけどダメか」

そう。斬子に言われるまでもなく。ギルド対抗戦を6人だけで勝ち抜くのは不可能というのは、竜の雛全員の見解だった。だが、そこから先の考えは、各々によって分かれている。

ヨハン、煙条P、レンマは、楽しめればそれでいいと思っている。

コン、ドナルドは、ギルドを大きく強くしていこうと思っている。が、それはあくまで長期的な計画であり、次のギルド対抗戦で優勝したいとは思っていない。

かくいうゼッカは、次のギルド対抗戦で、斬子に負けたくないのだ。

「ソロさんがダメだったとなると……よし」

ゼッカはギルドホームに向かう道すがら、次は誰を勧誘しようかと考えを巡らせた。

***

***

***

「おやゼッカさん。丁度良いところに」

 ゼッカがミーティングルームに入ると、そこにはゼッカ以外の全てのメンバーが集結していた。平日には珍しい光景だ。ゼッカは早速、勧誘の話をしようと思った。だがそこには竜の雛メンバーの他にもう二人、見知らぬプレイヤーが居た。

「あ、来たのねゼッカちゃん。見てこの子たち。オウガくんとメイちゃん。うちのギルドに入りたいって来てくれたんだけど、いいかしら?」
「よ、よろしくお願いします」
「うっす」

 暗いトーンの茶髪の少年と、明るい栗色の髪をした少女。名はオウガとメイ。小学生プレイヤーだ。ヨハンや煙条Pは面識があったが、ゼッカは初対面である。

(もしかして、凄いプレイヤー!?)

と期待して、そして落胆する。彼らの頭上に表示されたレベルはオウガが28、メイが25だったからだ。

「あ、はい。別にいいと思います」

「許可が降りたな。それじゃあメイちゃん、お姉さんがじっくり指導したる!」
「よ、よろひく……お願いしましゅ」

コンは新人の召喚師(サモナー)が嬉しくてしょうがないのか、メイに頬ずりしている。

「ようこそ我らがギルドへ」
「歓ゲイするわ☆」
「よ、よろしくっす」

一方オウガはドナルドと煙条Pという狂人に囲まれ、顔を引きつらせていた。

そして、新人二人の歓迎ムードも一段落した頃。ゼッカはみんなに提案してみた。

「あの、次にギルドに勧誘するプレイヤーをリストアップしてきたんですけど」

 そのプレイヤー達の情報を、ホワイトボードに表示すると、コンとドナルドが難色を示した。

「その【カサノヴァ】って男は止めた方がええ。恋愛トラブル起こしまくる有名な問題児や」
「【ベクター】ちゃんと【ブリぶり】ちゃんも止めた方がいいわ。性格に難ありよ☆」
「失礼ながら【暴れん棒将軍】も除外した方がいいかと。以前パーティを組んだ事がありますが、とてもギルドで一緒にやってきたいと思える方ではありませんでした」

「ち、ちょっと……それじゃあこの人達を入れるのには反対って事ですか!?」

 ゼッカの言葉に、コン、ドナルド、煙条Pが頷いた。確かに腕の立つプレイヤーである事は間違いないが、一緒に居て楽しいかと問われれば、ノーなのだ。どちらかと言えば、問題の火種となりうる人物たちである。

「そんな……」
「もしかしてゼッカちゃん。次のギルド対抗戦で、優勝狙ってはる?」
「はい……私は最果ての剣に……ギルティアにどうしても勝ちたいんです」
「それはうちも一緒や。けどな。うちは今すぐじゃなくてもええと思う。このギルドを大事に育てて、いつか勝てればそれで……」
「いつかっていつですか! 今勝たなきゃ……意味ないじゃないですか」
「なら勝つために、人格に問題があるヤツ入れろ言うてはるん?」

「ストップ。落ち着いて二人とも。新人が怯えてるわ」

 ヨハンが止めに入る。そして、ヨハンはゼッカを優しく抱きしめると、諭すような優しい口調で訪ねた。

「何があったの? いつものゼッカちゃんなら、問題ある人をギルドに入れようなんて言わないわ。何か、あったんでしょう?」
「うぅ……ヨハンさん。その……ギルティアに、私たちのギルドをゆるいとか、ぬるいとか、色々馬鹿にされて……それで……絶対勝って見返してやるって思って」

 ゼッカの目には涙が浮かぶ。それを見たヨハンは優しく微笑んだ。

「そう……私たちのギルドの為に怒ってくれてたのね……ありがとうゼッカちゃん」
「……でも、ボクはゆるいのもぬるいのも事実だと思うけどね」
「せやね」
「で、でも! 他にも殺人ピエロとか、変態とか……馬鹿にされて」
「あはは、言われてますよドナルドさん」
「変態は多分アンタの事よ煙条P☆」
「なんと心外な!?」

「えっと……皆さん、怒らないんですか!?」

「まぁ……ねぇ?」
「本当の事やし」
「……寧ろゆるいのは良いこと」
「ちょっとちょっと~ワタシ人殺しじゃないわよ~☆」
「私も変態ではないのですが……」

「……」

 ゼッカは不思議だった。さっきまであんなにも『許せない』という気持ちが渦巻いていたのに。あからさまな挑発をしてきた斬子の事も。『まぁいいか』と許せるくらいに、その心は落ち着いていた。

「ふふ、凄い人達だな……もう」

ゼッカは微笑む。そして。

「さっきは変なことを言ってごめんなさい皆さん。これ以上、無理矢理メンバーを探すのは止めます。次の対抗戦は、このメンバーでどこまでやれるか。それを楽しみたいと思います」

そのゼッカの発言に、大人達は微笑む。

「そうやね」
「ま、気の合いそうな人が来たら、要相談ってカンジね☆」

 そうして、ギルドの雰囲気はピリついたものから暖かいものへと戻る。

「はぁ~ちょっと怖かったけど、まとまって良かったね」

少し離れたところでやり取りを見守っていたメイが、横に居るオウガに話しかけた。

「ああ。それに、ちゃんとギルド対抗戦に参加するみたいで安心したぜ……何せ俺は」

オウガはキッと、何か決意に満ちた瞳でヨハンを睨む。

「ユニークを入手する方法を聞き出す為に。そしてクロスに勝つ為にここに来たんだからな」

そしてゆっくりとヨハンの元へ向かう。そして。

「ヨハンさん。いやギルマス。俺と決闘(デュエル)してくれないか?」

無謀にも、ヨハンに勝負を挑むのだった。

no image
第60話 オウガVSヨハン

「……お姉ちゃんとデュエルか」「生意気な新人やな」「勝てるわけないわよ☆」「ヨハンさんと戦いたければまず私を倒してからに……」  竜の雛のメンバーはやんわりと止めたのだが、オウガは聞く耳を持たなかった ...

続きを見る

スポンサーリンク

記事スライドショー

2023/8/9

【予定】今後の投稿予定

いよいよ8月……も半ば、明後日からお盆という時期に相成った。 前回の記事…というかコミックス3巻の発売からすでに一か月経っていると考えると時間の経過が恐ろしい。 コミックスを購入してくれた方はありがとう! この記事ではこの一か月間の間に挑戦したことと、お盆以降の予定について報告したい。 7月~8月 挑戦したこと 新作を投稿する カクヨム - 「書ける、読める、伝えられる」新しいWeb小説サイト陰に生きる最強忍者さん、ダンジョンで美少女配信者を助けてバズってしまい無事忍...https://kakuyomu ...

ReadMore

2023/7/12

【7月14日発売】お前のような初心者がいるか! コミカライズ3巻告知用ページ【告知】

各種Webサイト様で連載中のお前のような初心者がいるか!のコミックス3巻が7月14日発売ということで、お知らせです。 通販サイトなどでは予約が始まっているので、まだという方は是非! お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです 3 posted with カエレバ 楽天市場 Amazon 可愛らしく書いていただいたゼッカが目印! 内容としましては書籍版準拠で海賊王レイド後半~ドナルド登場あたりまでとなっております。 どこも面白く漫画としてまとめていただいてますので、是 ...

ReadMore

2023/4/16

【告知】引っ越しと新作がちょっといい感じの話

こんばんわ。  先日の記事で新作を投稿したとお知らせしたが、まぁ望むような結果を出せずに投稿を取りやめた。 1月末から二ヶ月間コツコツと準備してきたから相当凹んだんだけど、逆に謎のパワーが沸いてきて、その後すぐに執筆を開始。 普段は6万字~10万字のストックを作ってから投稿を開始するんだけど今回は3話分、6000文字程度で投稿を開始。 超見切り発車で完成度は微妙。さらにはストックがないから殆ど投稿5分前に書き上がったのをそのまま出荷みたいな自転車操業をしている。 ただその分、今まで考えていた「読者受け」と ...

ReadMore

no image

2023/4/12

【旧】第139話 追加メンバーたち

 メンバー募集当日の昼。集合時間の一時間前。  竜の雛のミーティングルームには、見慣れない顔が揃っていた。  対外的にメンバー募集を発表した竜の雛。希望者には軽い面接の後にギルドに加入してもらう予定だが、現メンバーの顔見知りには、特に面接もなく加入してもらうことになっている。そんな友人経由の希望者には、一般の集合時間よりも早めに集まってもらっていた。 「ヨハンさん。私の友達二人をご紹介します!」  改まってゼッカがヨハンの前に連れてきたのは二人の女子高生プレイヤーだ。  一人はヨハンもよく知る人物、元【最 ...

ReadMore

2023/4/2

【無料】小説版 お前のような初心者がいるか! が無料で読めるお話

タイトルの通り、お前のような初心者がいるか! の小説版第1巻がAmazonのキンドルアンリミテッドで無料で読めるようになったので報告したい。 前々からお話は頂いていたんだけど具体的な開始時期とかは知らなかった。 昨日寝る前に偶然発見したのでこちらでもご報告しておきたいと思う。 Kindle unlimitedを30日間無料で利用する   無料読み放題って作者は大丈夫なの? 「無料で読み放題とか大丈夫なのか?」と思われるだろうが心配ない。 というのも無料でもダウンロードされれば電子書籍が一冊買われたのと変わ ...

ReadMore

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

瀧岡くるじ

台東区在住の社畜兼業作家。 小学生の頃にデジモン、遊戯王にハマり大きな影響を受ける。中学時代は非オタとして過ごしてきたが高2でラノベを知り今ではフィギュアに憑りつかれたオタク。 大学卒業後はサラリーマンとして生きてきたがコロナで仕事が暇になったのをきっかけに小説家になろうにて連載開始。 2021年にカドカワBOOKSより『お前のような初心者がいるか!』を出版し作家デビュー。 嫌いなものは会社と通勤。 更新情報や購入物を日々ツイッターで呟いております。

おすすめ記事はコチラ

1

タイトルの通り、お前のような初心者がいるか! の小説版第1巻がAmazonのキンドルアンリミテッドで無料で読めるようになったので報告したい。 前々からお話は頂いていたんだけど具体的な開始時期とかは知ら ...

2

こんばんわ。  先日の記事で新作を投稿したとお知らせしたが、まぁ望むような結果を出せずに投稿を取りやめた。 1月末から二ヶ月間コツコツと準備してきたから相当凹んだんだけど、逆に謎のパワーが沸いてきて、 ...

-お前のような初心者がいるか!