お前のような初心者がいるか!

第85話 舞い降りる剣

パンチョ Lv40 破壊者

「くっ……やっぱお前はいるよな……パンチョ」

 目の前に立つパンチョというプレイヤーは、オウガがかつてパーティを組んでいた人物。そして、クラスメイトでもあり、以前オウガが所属していたサッカーチームのストライカーでもある。その付き合いは長く、互いの手の内を知り尽くしていると言ってもいい相手だろう。

「今日こそ決着をつけるぜオウガ! さぁ勝負だ」
「くっ……」

 正直オウガには、目の前のパンチョに構っている時間が惜しい。早くメイの周りにいる敵を倒してやりたかったし、空中で偉そうにこちらを見下ろしているクロスと戦いたいという気持ちがあった。

 だがオウガの興味が自分にないことに腹を立てたのか、パンチョは挑発する。

「へっ。どうしたメイの方を気にして。やっぱ愛しの彼女が心配か?」
「はぁ……メイは別に彼女じゃねーって」
「そ、そうなのか? 本当だな? 本当にまだ付き合ってないんだな?」
「本当だよ」
「そう……良かった……ぜ!」
「……」

 オウガは剣を構える。だがパンチョはそれに待ったを掛けた。

「オウガ。今からお前に俺のユニークスキルを見せる……」
「お前のユニークスキル?」

 パンチョは頷くと、両手を天に掲げた。すると、パンチョの全身からオーラが溢れ、それがやがて手の中に、球体のように集まっていく。そしてそれは、まるで一つのボールのような光の弾となった。

「これが俺のユニークスキル【気合玉】だ。全MPをボールにして相手にぶつけ、破壊する。普通は投げて使うんだが……」

言いながら、パンチョは光の弾を地面に置いた。

「なるほど……」

それを見て全てを察したオウガは剣をしまうと、両手を広げた。まるでキーパーのように。

そう。パンチョはGOO次元サッカーでオウガと決着をつけようとしているのだ。そしてオウガもそれに乗る。
ここ最近、オウガがクロスと戦う為に頑張ってきたように、パンチョもまたオウガと戦うために頑張ってきたのだろう。

「はっ! 察しがいいじゃねーか。よし、それじゃあオウガ、お前が勝ったら俺が何でも言うこと聞いてやるよ。但し俺が勝ったら……大事な話がある! それを真面目に聞いて貰うぜ」
「……? いいよ。へへ、勝ってお前にジュース奢らせてやる」

オウガの言葉を聞いて、パンチョはムッとして「人の気も知らないで……」と呟いた。

「あ? 何か言ったか?」
「な、なんでもねーよ!」

パンチョには並々ならぬ思いがあった。

パンチョがオウガを初めて見たときは、ひ弱なヤツだと思っていた。

けれど同じクラスで共に学び、同じチームで汗と涙を流し……同じゲームで共に冒険し。いつしかオウガの事が気になって気になって仕方がなくなった。

四六時中、起きている間はいつでもオウガのことが頭に浮かぶ。それが初恋だと自覚するのに、時間はかからなかった。

だからこそ、最近オウガとメイが常に一緒に居るのが、パンチョには気になって仕方がなかったのだ。

(今日、もしオウガに……優作に勝てたら……好きだって告白するんだ!)

 気合玉を蹴りやすいよう、兜や鎧を外すパンチョ。すると、短髪の中性的な美少女の姿が露わになる。背はオウガより少し高く、すらりと伸びた手足には薄いアスリート的な筋肉がついている。

(俺は負けない。その為に気に入らねぇクロスの野郎の所に残って、このスキルを手に入れたんだ。やれる……絶対に勝つ)

「行くぜ優作!」
「おう……いつでも来……いや待て!」

「な……なんだよ優作! 俺の思いが受け止められねぇっていうのか!?」
「思い? いや違うって! 後ろ後ろ! 冗談じゃなくヤバいって!」
「後ろって……ぎゃあああああああ!?」

パンチョが振り返る。すると、後方から金色の巨大な昆虫が突撃してくるのが見えた。急いで回避しようとするが、間に合わない。

「うわぁマジか……ギルマスだ……」
「オウガ……お前は……俺の……ぎゃあああああああ」

そう叫び、パンチョはキングビートルの下敷きになって消滅した。

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瀧岡くるじ

台東区在住の社畜兼業作家。 小学生の頃にデジモン、遊戯王にハマり大きな影響を受ける。中学時代は非オタとして過ごしてきたが高2でラノベを知り今ではフィギュアに憑りつかれたオタク。 大学卒業後はサラリーマンとして生きてきたがコロナで仕事が暇になったのをきっかけに小説家になろうにて連載開始。 2021年にカドカワBOOKSより『お前のような初心者がいるか!』を出版し作家デビュー。 嫌いなものは会社と通勤。 更新情報や購入物を日々ツイッターで呟いております。

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