お前のような初心者がいるか!

第36話 肉体派の助っ人

再び階層ボス手前の部屋まで戻ってきたヨハンとコン。そこで、絶賛苦戦中のゼッカレンマコンビと合流する。
 そして、二人からモンスター攻略の情報を聞き出した。

「なるほどな。そら、手数がないと厳しい相手やわ」

 顎を押さえながら、コンが頷いた。

「ええ、追い詰めることは出来るんですけど、二人だと今一歩手が届かないんですよね」
「……あれは難しい」
「コンさん。お願いなんですが、私たちとパーティを組んで頂けませんか?」
「あら、うちと?」
「コンさんは有名な召喚師。加わって頂けたら、きっと勝てると思うんです」
「ふ~ん。そっちのお嬢さんはええの? うちが混ざっても?」
「……ボク達だけじゃ勝てないから……助けて」
「ならええよ。うちも混ざったる。ああけど、うち助っ人を一人呼んどるんよ。その人も混ざってもええ?」
「はい。コンさんが助っ人に呼ぶなんて一体どんな実力……しゃ……っ!?」

 言っている途中で、ゼッカは見つけてしまう。こちらに近づいてくる、赤い髪をした大男に。その男は2メートルに迫る身長を持ち、顔をピエロのように白塗りにしている。そして服装も、赤い道化師衣装に身を包んでいる。だがボディビルダーのような屈強な肉体のせいで、ぱっつんぱっつんだった。

「あああああれ……イッツじゃないですか!?」ガクブル
「……アレが見えたら終わり……」ガクブル

「来はったなドナルドはん。こっちやこっち」

 どうやらその長身のマッチョピエロがコンの言う助っ人だったらしく、手招きして呼び寄せている。

「ちょっとちょっとコンちゃ~ん。このキュートなガール達、海賊王レイドで頑張ってた子達じゃな~い☆」

ドナルドと呼ばれたマッチョピエロは野太い声でオネェ言葉を発しながら、身体をくねくねさせる。

「せや。ゼッカちゃんとレンマちゃん」
「よよよよろしくお願いします!」
「……よろしく」
「ワタシはドナルド・スマイルよ! よろしくネ☆」

ドナルドはゼッカ、レンマと握手を済ませると、ヨハンの方へと振り向いた。

「よろしく。あの子達を、お願いしますね」
「当然よ! ワタシ、可愛い子達が大好きだから!」

 なんとなく、この人は安心できそうだと思うヨハン。

 ヨハンはソロ、そしてゼッカ、レンマ、ドナルド、コンはパーティと二手に分かれ、いよいよ階層ボスへと挑む。

***

***

***

 ボス部屋の中は、クワガイガーの時と同じく、ドーム状になっていた。だが足元や壁は氷に覆われており、部屋の雰囲気は全く違う。

 ゼッカ達が部屋に入ると、中央ですやすや眠っていたクリスタルレオが目を覚まし、咆哮する。それを合図に、敵の周囲の空気が凝縮され、宙に浮かぶ6つの巨大なクリスタルとなる。

 クリスタルレオは、竜のような羽を持った、巨大な白いライオンのようなモンスター。鬣(たてがみ)、そして身体の至る所に鎧のような氷が張り付いている。それはある一定のダメージを与えると破壊できるが、それまではクリスタルレオを守る装甲の役割を果たしている。

「あれやね。ゼッカちゃんが言うとったのは」
「ええ。あのクリスタルはボスの周りをくるくると回りながら、ボスを守るフィールド効果です」
「……凄く厄介」

クリスタルレオがこちらを視認。戦闘態勢を取る。

「とにかく予定通りに行きましょう。私とレンマちゃんで攻撃を引きつけつつ、浮遊クリスタルを破壊。その後の攻撃はお任せします」
「わかったわゼッカちゃん。ワタシに任せておきなさい☆」

ドナルドのウィンクに顔を引きつらせつつ、ゼッカは剣を引き抜き、敵に向かって突撃。それにレンマも続く。ゼッカは飛び上がると、ユニーク装備のデッド・オア・アライブの白い方で浮遊クリスタルを攻撃する。

「よし、ガッツ二個ゲット……うぉおおおお」

 ガッツを獲得すると、今度は黒い方の剣で攻撃する。自分に付与されたガッツを消費することで莫大なダメージが浮遊クリスタルの一つを打ち砕く。

「がるるがああああああ」

だが、クリスタルレオは黙って見ている訳では無い。敵が翼をはためかせると、猛烈な吹雪が発生、ゼッカを襲う。
 敵のスキル【絶対零度】。プレイヤーに【氷結】の状態異常を与え、氷漬けにしてしまう強力なスキルだ。恐ろしいのは、氷漬けにされた状態で物理攻撃を受けると、身体ごと氷が崩壊し、即死となることだろう。

「レンマちゃん!」
「……【ポジションチェンジ】!」

 レンマはスキル【ポジションチェンジ】を発動。パーティであるゼッカと自分の位置を入れ替えた。そしてそのまま、敵のスキル【絶対零度】を受け止める。

「……ボクには効かないよ」

 レンマは状態異常【氷結】を無効にする装飾品を身につけている。こうやってゼッカの攻撃、レンマで防御……を繰り返しながら攻略を目指していた二人だが、これではやはり手数が足りないのだ。

だからこそ、ドナルドとコンという、二人の助っ人の活躍が重要となる。

「あの二人……なかなかやるじゃない☆」
「流石、魔王はんの側近やね」

 少し離れたところから二人の戦いを見守るドナルドとコン。だが、ただ見ているだけではない。コンは召喚獣を繰り返し召喚し、ドナルドに筋力強化の補助スキルを掛けているのだ。

「スキル【ダムドチャージ】……【バックアップチア】を消滅。続けて召喚獣召喚――【バックアップチア】!」

 幾何学的な魔法陣から、チアガール姿の天使が出現する。

「そのままドナルドに【パワーエール】!」

 バックアップチアがダンスをすると、ドナルドに筋力増加のバフがかかる。【パワーエール】はパーティメンバー一人の筋力を+100するスキル。ゼッカ達が稼いだ時間でこれを10回繰り返した。現在、ドナルドの筋力値には1000ポイントがプラスされている。

「さぁて……ここからさらに……フーンヌッ☆」

ドナルドがスキル【闘魂・極】を発動。筋力と魔力の数値が倍となる。

「さらに……フーーンヌッ☆」

 ドナルドはさらに【闘魂・零】を発動。ここからさらに筋力と魔力の数値を3倍とする。だがその代償として、敵の攻撃を食らうと一撃で即死してしまう状態となった。

「さぁて……行こうかしらねぇ☆」

超絶強化を終えたドナルドが指をポキポキ鳴らしながら、クリスタルレオ目掛けて突っ込んでいく。

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第37話 第三層突破

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瀧岡くるじ

台東区在住の社畜兼業作家。 小学生の頃にデジモン、遊戯王にハマり大きな影響を受ける。中学時代は非オタとして過ごしてきたが高2でラノベを知り今ではフィギュアに憑りつかれたオタク。 大学卒業後はサラリーマンとして生きてきたがコロナで仕事が暇になったのをきっかけに小説家になろうにて連載開始。 2021年にカドカワBOOKSより『お前のような初心者がいるか!』を出版し作家デビュー。 嫌いなものは会社と通勤。 更新情報や購入物を日々ツイッターで呟いております。

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