カクヨムにて新連載中です。こちらもよろしくお願いします。
ガラスの階段を下りきりゲートを潜ると、広い空間のような場所に出た。
そこは白を基調とした厳かな雰囲気溢れる空間で、床には大理石のようなパネルが敷き詰められている。
左右には見覚えのあるような巨大な骨格標本や剥製が並べられている。
「モンスターの剥製?」
「まるで博物館ね」
「進んでみます?」
「どうしましょうか……」
一度コンたちに相談した方が良いだろうか?
ヨハンがそんなことを考えていると、頭上からシステム音が鳴り響く。
『ユニーククエスト【邪悪な収集家を止めろ!】が開始されました』
「ええ!? いきなり何か始まったわ!?」
「ユニーククエストってなんなんでしょうか?」
「わからないわ。とにかく普通のクエストとは違うのでしょうけど」
ヨハンが挑戦したクエストはレンマと挑戦したもののみ。その辺の知識は乏しかった。
「とにかくユニークってことは、一回しか受けられないクエストってことですよね」
「そうね。あっ……見て、何か来るわ!」
ヨハンが指差した方向に、一人の小太りな男が現れた。
しかし男の姿は半透明で、さながらSFの立体映像のようである。
『我がコレクションルームへようこそ。我が輩の名はマスマテラ・マルケニス』
「――ブラックフレイム!」
『ここには我が輩がこの電子世界で集めた「ジュッ」が記録されているコレクションルーム。電子と電子の狭間に作られたこの空間にたどり着けるのは選ばれた強者のみ』
「ダメね、やっぱり効かないわ」
「ここは話を聞いた方が良さそうですね」
すかさずマスマテラ・マルケニスを名乗る男に攻撃を仕掛けたヨハン。だが攻撃はその身体をすり抜けてしまった。当然と言えば当然だが。
『それでだ。そんな君たち強者に相談だ。我が輩のコレクションは持って眺めてはい楽しいーというものではない。我がコレクションは常に遊び相手を求めている。君たちのような相手は大歓迎だ』
カチャっと。
うざったい仕草でメガネを上げるマスマテラ・マルケニス。
『ここから先、1階層ごとに1回、戦闘をしてもらう。そして勝てば次の部屋に進むことができる。そして10回勝って奥の部屋までたどり着けたなら……まだこの世界で誰も手にしていない貴重な素材アイテムを譲渡しよう』
「素材アイテム!?」
「10回でいいのね!」
『乗り気だね。では受けるということでよろしいか? よろしいね。まぁ生きて帰す気なんてないけどね』
「へ、変な人だわ……」
「ヨハンさん。メッセージが」
マスマテラ・マルケニスの言葉が終わった時、ヨハンとメイの前にメッセージが表示された。
ユニーククエスト【邪悪な収集家を止めろ!】
参加人数:1人~12人
概要:電子異世界のあらゆる生命体のデータを複製しコレクションする収集家マスマテラ・マルケニスを倒せ!
クリア条件:ROOM1~ROOM10の全ての戦闘に勝利
○1戦勝利ごとにクエストを中断できる。
○負けても再挑戦可能
○アイテムなどによる戦闘離脱可能
○挑戦プレイヤー全滅による敗北があった場合、ROOM1から再挑戦となる。
「以外とユルそうね」
「ですね。取り返しがつかないということはなさそう」
「それじゃ今日は一勝だけして帰りましょうか」
「ですね。実はちょっと疲れちゃってまして」
「ふふ、私もよ。ちょっと眠たくなってきた」
二人は思っていた。最初の敵、ROOM1の敵はそこまで強い敵ではないだろうと。
だがそんな二人の考えは次の瞬間、打ち砕かれることになる。
ホログラムのマスマテラ・マルケニスが指を鳴らすと、地面からコンテナがせり上がってくる。
そしてそのコンテナがバラバラと崩れるように開くと、中から出てきたのは……。
「げはははははは! 我が宝を奪いし愚か者共に制裁を加えてやるわ!」
現れたのは一体の人型モンスター。
肉体は既に朽ち果て骨だけとなっている。
だがその全身の骨は下品な金色に輝いている。
海賊帽と船長服を纏ったその姿はまさしく宝への執念で動くアンデッド。
「あれは……まさか」
「海賊王バンデット!?」
『我が輩の期待通りのリアクションだ。言ったであろう、我が輩はこの世界の生命体のデータを複製、記録していると』
海賊王の笑い声が響く空間で、マスマテラ・マルケニスはニタリと笑う。
『では第一ラウンドを始めようか』
